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OUT(桐野夏生)




OUT



東京郊外の弁当工場で、主婦達は深夜パートの作業を黙々とこなしていた


『香取雅子』(42歳)はリストラ亭主と家庭崩壊、『吾妻ヨシエ』(51歳)は認知症の姑の介護、『城之内邦子』(40歳)はカードローンと街金の多重債務、『山本弥生』(30歳)はギャンブル狂の亭主から受ける暴力と、それぞれ4人は大きな悩みを抱えていた


そんな中、『弥生』は夫がマイホームの頭金にしていた貯金を、闇賭博のバカラで使い果たした事に激高し殺害してしまう


『雅子』は『弥生』の窮地を救う為、『ヨシエ』と『邦子』を巻き込み死体をバラバラにし、ゴミ集積場に分散投棄して証拠隠滅を図るが、一部を『邦子」が公園に捨てた事により露見してしまう


警察の捜査が行き詰まりを見せる一方で、有力容疑者として逮捕された地下カジノのオーナー『佐竹』は、興信所を使い『弥生』の周辺を探り始め、借金の棒引きと引き換えに『邦子』から事件の全貌を聞き出した


また、街金のチンピラ『十文字』は、死体隠滅の仕事を『雅子』に持ち掛けるなど、主婦達4人の日常は確実に壊れ始めて行く



ミステリー小説衝撃度数

★★★★★★★★★ 9





現実離れした犯罪に加担してしまった主婦達の負の連鎖に惹き付けられた


これまでに数え切れないほど読了した作品だが、不思議に思うぐらいにいつまで経っても物語の鮮度が落ちない


登場人物それぞれのキャラクターの魅力も相まって、怒涛の展開にも関わらずすんなりと作中に入り込む事が出来る


もちろん人生お金だけじゃないけれど、お金がないと、それだけ転落人生を歩む可能性が飛躍的に高まる事を痛感させられる小説


個人的には『桐野夏生』の最高傑作だと思っている