最悪(奥田英朗)
最悪
小さな町工場を営む真面目な中年男、気が弱く自分の意思を主張するのが苦手な銀行員の女、親と絶縁しパチンコとカツアゲでその日暮らしをする若い男
3人は現状に物足りなさは感じてはいるものの、それなりに何とかなっている毎日を過ごしていた
しかし、そんな3人にそれぞれ小さな問題が発生する
町工場の男は地域住民から「工場の騒音がうるさい」と訴えられ、銀行員の女は上司からセクハラを受け、その日暮らしの若い男は軽い気持ちからやった窃盗がきっかけでヤクザに弱みを握られる
そして、無縁だった3人の人生が交差する時、最初は小さかった問題が加速度的に転がり始める事になる
正に「最悪」の形で
ミステリー小説衝撃度数
★★★★★★★★★ 9
小さな町工場を営む『川谷』、銀行でOLをしている『みどり』、パチンコとカツアゲでその日暮らしをする『和也』
三人の鬱屈とした生活が徐々に転落し始め、「最悪」の状況で交わってしまう物語
読み進めるにつれ憂鬱感が増す作品だが、どういう理由か頁をめくる指の速度も増して行く
さすが直木賞作家『奥田英朗』、ベストセラーを連発するだけの事はある
途中から先の展開はある程度予測する事は出来たが、その予測以上の「最悪」さを伴って物語は終焉を迎える
一言で表現すれば、「超絶面白い小説」
「最悪」を描いているのに非常に読みやすく、かつ後味も悪くない
「奥田マジック」にしてやられた感じ
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。