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告白(湊かなえ)




告白



第一章「聖職者」


市立S中学校1年B組


3学期の終業式の日、担任の『森口悠子』は、生徒達に間もなく自分が教師を辞める事を告げる


原因は「あの事」かと生徒から質問が飛ぶ


数ヶ月前、学校のプールで彼女の一人娘が死んだのだ


『森口』は、娘は事故死と判断されたが本当はこのクラスの生徒二人に殺されたのだと、犯人である少年「A」と「B」(匿名ではあるがクラスメイトには充分解るように)を告発し、警察に言うつもりはないが、彼らには既に恐ろしい復讐を仕掛けたと宣告して去って行く



第二章「殉教者」


1年の時の終業式直後、クラス全員に「B組内での告白を外に漏らしたヤツは少年Cとみなす」という謎のメールが送られる


春休み後、2年生に進級したB組の空気はどこか異様だった


「少年A」こと『渡辺修哉』は相変わらず学校へ来ていたが、「少年B」こと『下村直樹』は一度も姿を見せていなかった


その後のクラスの様子と、1年B組に何が起きたか一切知らない新任教師の「ウェルテル」こと『寺田良輝』の愚かな行い、そして「修哉に天罰を!制裁ポイントを集めろ!」という第二のメールを皮切りに行われた、クラスによる『修哉』への制裁の模様をクラス委員長の『美月』が『悠子』へ綴った手紙の形で語る



第三章「慈愛者」


母親を殺してしまった『下村』


その『下村』の姉『聖美』が、弟が起こした事件の背景を知ろうと母親の日記を読み始める


そこには、弟が母親を刺殺するまでの出来事が、息子を溺愛する一方的な母の思いと共に綴られていた



第四章「求道者」


母を刺殺した『下村』は、施設の中で壁に映る幻覚を見ていた


彼が共犯者である『渡辺』と出会い、故意で『愛美』を殺し、さらに母親を殺害するまでの苦痛の生活を記憶のフラッシュバックという形で追って行く


あまりにもショックな事が起こり過ぎ、記憶障害になってしまった彼は、そのフラッシュバックを半ば他人の話のように見て、その行いをとても馬鹿にしている



第五章「信奉者」


主犯である『渡辺』が、自身のサイト「天才博士研究所」に「母親への遺書」として自分の生い立ち、『愛美』を殺すに至った過去の経緯や、犯行後の一時の平穏と彼の心の安定を壊す一連の出来事、次なる犯行予告などをアップロードした


最後に二頁だけ『渡辺』の現在の視点となり、突然彼の携帯電話が鳴り響くシーンで終わる



第六章「伝道者」


第五章から直接続いて、『森口悠子』から『渡辺』へ携帯電話の電話口で最後の宣告が行われる


『森口』は『渡辺』が設置した爆弾を彼の母親の勤務先に移動させ、爆破が完了した後こう告げた


「これが本当の復讐であり、あなたの更生の第一歩だとは思いませんか?」



ミステリー小説衝撃度数 

★★★★★★★★★ 9





この凄い小説をデビュー作で書ける『湊かなえ』には脱帽するしかない


物語の登場人物全員が酷く歪んでいて、その歪みと行動が最悪の形で絶妙に噛み合っている


誰も救われない、不幸な悲劇としか言いようがない展開に絶句する


女性教師、被害者、加害者、第三者の視点に分けて丁寧に物語は構成されており、嫌悪感を抱きながらも作中に入り込む事が出来た 


後味は凄まじいほどに悪いが、万人に一度は読んで欲しい名作だと思う