マリアビートル(伊坂幸太郎)
マリアビートル
元殺し屋の『木村雄一』は、幼い息子を遊び半分でデパートの屋上から突き落として意識不明の重体にした中学生、『王子慧』に復讐する為、東京駅にて彼が乗った盛岡行きの東北新幹線「はやて」に乗る
ところが『王子』は『木村』が自分を殺そうとしている事はおろか、元殺し屋という過去も知っており、『木村』をスタンガンで気絶させる
自信家の『王子』は大人を翻弄する事が大好きで、今回も遊び半分で『木村』を誘い出したとし、自分の知り合いが密かに『木村』の息子の命を狙っていると教え、彼をコントロール下に置く
一方、腕の立つ殺し屋のコンビである『蜜柑』と『檸檬』は、裏社会の大物『峰岸良夫』の依頼を受けて誘拐された彼の息子を救出し、支払われた身代金の回収を行った
それらを盛岡に運ぶ為に新幹線に乗るが、身代金の入ったトランクを紛失してしまう
さらに、2人が目を離した隙に『峰岸』の息子も殺されていた
途中の各駅には任務確認の為に峰岸の部下も配置されており、このままでは『峰岸』に粛清される為二人は慌てる
そんな中、ツキのない殺し屋である『七尾』は、仲介屋で仕事のパートナーである『真莉亜』より、「簡単な仕事」として東京駅から新幹線に乗り、トランクを奪って上野駅で降りる仕事を受ける
しかし、いざ上野で降りようとすると、偶然にも因縁のある殺し屋『狼』と鉢合わせしてしまう
『狼』が邪魔をして上野で降りる事が出来ず、その彼とは車内で揉み合いとなって殺してしまう
『狼』の死体を隠し、次の大宮で降りようとするが再び不運が訪れ降車に失敗する
それぞれ3組の殺し屋達は自分達の危機を脱する為、『王子』は大人達を翻弄する為、身動きの取れない新幹線内でそれぞれ行動を起こす
ミステリー小説衝撃度数
★★★★★★★★★★ 10
個人的にはこれまでの『伊坂幸太郎』作品の中での最高峰
各登場人物の魅力的な個性、物語の完成度と疾走感、散りばめられた伏線の見事な回収、誰もが望むであろう期待を裏切らないエンディング
「伊坂ワールド」にどっぷり浸かるには最適の一冊だと断言出来る傑作
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