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手紙(東野圭吾)




手紙



弟と2人暮らしの『武島剛志』は、弟の大学進学の為の金欲しさに空き巣に入り、思いがけず強盗殺人を犯して逮捕されてしまう


弟で高校生の『直貴』は、突然独りぼっちになり途方に暮れる


とにかく謝罪しようと被害者の家を訪れるが、遺族の姿を見掛けただけで思わず逃げ出してしまう


高校の卒業式の2日前の彼の元に、獄中の兄から初めての手紙が届く


それから月に一度、刑務所の小さなマークがスタンプされた手紙が届くようになる


進学を諦めて就職したが、同僚の学ぶ姿に刺激されて大学の通信講座を受講する


講座仲間と組んだアマチュアバンドは人気となり、『朝美』という裕福な家の令嬢と結婚を考える仲にもなった


しかし、殺人犯の弟という素性を知られ、結婚もバンド活動も結局は破綻してしまう


それでも大学を卒業し、なんとか電気メーカーに就職する


兄の存在を承知で応援し続けてくれた『由美子』と結婚し、その後娘にも恵まれた


しかし、社宅内に噂が広まり、幼い娘がイジメに合う事態となった


獄中の兄の平穏な日々とは裏腹に、幸せを掴もうとする度に、自分の前には「強盗殺人犯の弟」というレッテルが立ちはだかる


正々堂々と生きて行く意味を見失った『直貴』は、獄中の兄に宛てて「家族の為に兄貴を捨てる」と絶縁の手紙を送った


そして、『直貴』は高校生の頃に逃げ出した被害者遺族の元を謝罪の為に訪れる


家に上がる事を許した被害者の息子『忠夫』は、『剛志』から毎月届いた開封済みの手紙の束を見せ、「彼に取っての般若心経だ」と理解を示した


最後の手紙には、自分の手紙が『弟』や『忠夫』を苦しめていたという謝罪の言葉が綴られていた



ミステリー小説衝撃度数

★★★★★★★★★ 9





『東野圭吾』は出せば売れるの売れっ子作家の代表格だが、何故かラストシーンにがっかりする作品も実は多いミステリー作家


しかし、この作品のラストシーンはなかなかの出来栄え


このラストシーンを書く為に本文を書いたのではないかと思わせるほどだ


このブログ内で記事にした『東野圭吾』作品は「白夜行」、「容疑者Xの献身」についで今回の「手紙」が三作品目


ラストシーンだけをみれば、この「手紙」が三作品の中で間違いなくNo.1だと思っている