インシテミル

「ある人文科学的実験の被験者」になり、7日間24時間監視付きで隔離生活するだけで時給11万2000円が支給されるという破格の求人募集に釣られ、何も知らずに「暗鬼館」に集った年齢も性別も様々な12人の男女

しかしその実験内容は、より多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合うというデスゲームだった

各々の個室には、殺人に利用出来る種類の異なる凶器が一つずつ用意され、夜間は部屋から出る事が禁じられるなど多くのルールが設けられている

人を殺せばより多くの報酬が得られるが、犯人である事を指摘されれば報酬は減額される

何もしなくても報酬が貰えるならと、行動を起こさない事が参加者の間で暗黙のルールとなり、状況は一見落ち着いたように見えた

だが3日目の朝、銃殺された『西野岳』の死体が発見され、参加者達は強烈な疑心暗鬼に陥る

3日目の夜、恐怖に駆られた『岩井壮助』は、犯人だと疑っていた『真木峰夫』を誤ってボウガンで射殺してしまう

4日目の朝、『岩井』はボウガンを持って自室のジャグジーに鍵を掛けて籠城するが、「解決」によって召喚された「ガード」に突破され「監獄」送りとなる

4日目から5日目に掛けての夜、参加者達による見回りが行われるが、その最中に「霊安室」にて吊り天井で圧殺された『大迫雄大』と『箱島雪人』の死体が発見される

5日目の話し合いにて、『大迫』と『箱島』を殺した犯人として疑われた『釜瀬丈』が『大迫」』の恋人である『若菜恋花』に銃殺され、その直後に『若菜』も自殺してしまう

6日目、『結城理久彦』によって『西野』が「クラブ」のサクラであった事、『西野』の死は「ガード」によるものであった事が暴かれる

しかし、推理で先を越された事にプライドを深く傷つけられた『安東吉也』は、『関水美夜』に唆されて『結城』を『大迫』と『箱島』殺しの犯人であると「解決」し、『結城』を「監獄」送りにする

7日目の昼、「暗鬼館」に耐え切れなくなった『渕佐和子』の提案で、残っていた4人は脱出する事に決める

『大迫』と『箱島』殺しの真犯人である『関水』は、「被害者ボーナス」によって目標報酬総額である10億円を得る為、『渕』から渡された凶器で自殺を図るが、「監獄」から脱出した『結城』と『岩井』によって阻止される

『結城』は『関水』の報酬が10億円になるように自分の報酬から送金するように「クラブ」に頼んだ後、「躊躇の間から外に出て実験を終わらせる

「暗鬼館」での実験から7日後、『結城』の元に『須和名祥子』から「明鏡島」での実験の誘いの手紙が届く場面で物語は幕を閉じる

ミステリー小説衝撃度数

★★★★★★★★★ 9

ポスト『東野圭吾』は『米澤穂信』か？と思わせるような非常に興味深く面白いミステリー小説

一部のミステリーファンからは酷評された作品でもあるのだが、個人的には楽しく飽きずに読了する事が出来る秀作だと思う

最初登場人物が多過ぎるとも思ったが、それぞれのキャラの強さが絶妙で苦もなく読み進める事が出来た

物語の結末が気になり、一気に読み進めてしまい結局その日は徹夜した（笑）

ラストの意外性も含めて、『米澤穂信』の入門書としては最適の一冊と言える