ある介護老人保健施設(前編)
だいぶ前の話になるんだけれど、とある介護老人保健施設の経営に携わっていた事があった
その頃に体験した事を少し書いておきたい
話の内容が少しオカルトチックである為、場所と施設名は伏せたいと思う
まず、自分が介護老人保健施設の経営に興味を持ったのは、特に福祉や介護に強い関心があった訳ではなく、単に効率の良いビジネスだと思ったからだ
その頃は今と違い、金融機関や行政から上手くお金を引っ張る事も容易だったし、他の業種に比べて安い賃金で職員を雇う事も出来た
そういった自分の金儲けに対する感覚(考え方)が、当時の妻との心の距離を遠ざけたのだと今では考えている
施設を開所して三年目を迎えようとしていた頃、施設職員の間で奇妙な噂が立ち始めた
三階建の建物だったのだが、一階のある部屋の中で白い靄のようなものが時折見えると言うのだ
一階の角部屋に位置しているその部屋は、男性利用者専用の6人部屋だった
その白い霧のようなものは、何故か女性の職員にしか見えず、女性介護士や女性看護師は皆たいそう気味悪がっていた
介護老人保健施設は、特別養護老人ホームへ入所する前に、ある意味その順番待ちをする施設という意味合いもあり、特別養護老人ホームの入所者に比べれば、比較的要介護度が低く身体の状態も良好という場合が多いのだが、その介護老人保健施設では、空きベッドをなくして利益を上げる為、他の施設では入所を断られるような重度の疾患や問題を抱えた入所者も数多く受け入れていた
その為、他の介護老人保健施設と比べると、居室内で老衰や持病の疾患により就寝中に死亡するというケースも多かった
後編へ続く
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